講義「伊都キャンパスを科学するⅠ」環境ツアー レポート   2009年5月27日

案内人 九州大学新キャンパス計画推進室 教授・副室長 坂井 猛
九州大学事務局企画部統合移転推進室 室長補佐 二又正隆
九州大学事務局総務部企画広報室 深堀成吾
■ツアーの目的
伊都キャンパス環境ツアーは、伊都キャンパスにおける環境と計画、建設を巡る様々な話題について、キャンパスの現場の一部を廻り、実体験を通して理解することを目的としています。 講義時間90分でどれだけまわれるか、エコトンネルや湧水源を参加者1人1人が自分の目で確認する時間も 設けつつ、時間を気にしながらの強行軍でした。


■新キャンパスの名称について
2005(平成17)年2月1日より3月31日まで公募し、全国から応募のあった473件から、2人の学生委員を含む新キャンパス名称審査会(有川節夫委員長)において予備審査を行い,役員会(4月11日開催)において,「伊都キャンパス」と決定しました。応募件数473件の86%は学外からの応募でした。審査会では、新キャンパスが九州大学の中心的な機能を果たす場になること、歴史を受け継ぎつつ次代を担う学術研究の拠点となること等を念頭に、地域性を考慮すること、中心が別に存在するような表現や分かりにくい表現は避けること等を基準として選考を行いました。かつてこの辺りが伊都国とよばれ、大陸との交流の拠点であったことが全国的に知られており、新キャンパスが国際交流の拠点としても期待されていることから、「伊都キャンパス」を、これらを表現する最もふさわしい名称と判断したものです。

■ツアーコース紹介
1.カフェテリア 『Qasis』
センター2号館1階にカフェテリア(200席)がオープンしています。昼はオープンカフェテリアとして、夜はビュフェカフェテリアとして、洋食中心の選択性の高い食事を提供しており、おすすめです。

2.キャンパスモール
自動車とバイクと自転車の来ない歩行者だけの場所です。秋には紅葉するカエデ(アメリカフウ)の幼木を植栽しており、成長すると木陰をつくりだすようになります。センター2号館1階には、雨と夏の日差しを避けるため、柱だけの空間(ピロティ)も広めに確保しています。キャンパスモールには、九州大学の箱崎、病院、筑紫、大橋、六本松等へ伸びる軸線と、バーコードでKYUSHU UNIVERSITYが描かれています。

3.九州大学銘板
   NHK大河ドラマ「風林火山」の題字等をてがけた書家、柿沼康二氏による。大学の顔として、みなさんの記念写真撮影に活用してほしい場所です。たとえばこんな風に


4.築山アート
将来は、ここに総合研究博物館が建ちます。それまでの間、見通しを確保しつつ、駐輪場とのクッション的役割を果たしています。学園通り線に向かう黒御影石の台座の上には、アートを設置する予定です。

5.給水センター
センター・ゾーンの北側には、給水センターがあります。ここでは学内で使った水を処理して、半分以上を実験やトイレに使用できる再生水にしており、節水とコスト削減に貢献しています。

6.センター・ゾーンの近未来
給水センターの手前にはホテル建設予定地もあり、東側の造成地には、全学教育施設の増築と、中央図書館、文系研究教育施設等が建設される予定です。さらに右方向、南には産学連携施設、民間の研究所用地もあります。

7.キャンパスコモン
建物の南側は、コモンと呼んでいます。みんなで利用する共通の場として、芝と高木で構成し、季候の良いときは弁当を広げたり、読書をしたりできる、大学キャンパスらしい場所として確保するエリアです。

8.学園通り線
 福岡市は、学園通り線に立派なケヤキの高木100本を植えて頂きました。南側道路の両側には、これから2年後に住宅や民間の研究所、商業施設等が建つ予定です。

9.大坂の池と元岡瓜尾貝塚遺跡
地元農業用の溜め池で容量は約2.6万トンです。右方向、西側の雑木林付近には県指定史跡の元岡瓜尾貝塚遺跡が保存されていることから地元の人は瓜尾池とも呼んでいます。瓜尾貝塚遺跡は、旧今津湾に面する丘陵斜面に形成された縄文時代後期の貝塚で、現在は溜池の土手面にわたって貝層が露出しています。貝種は現在も今津湾に生息するものが多く、ウミハナ、ハイガイ、マガキなどです。縄文後期の土器、石器、人骨、獣骨などの遺物が出土しています。

10.総合体育館
さまざまな屋内スポーツに対応する総合体育館であり、トレーニングジムを備えています。併設の多目的グラウンド、課外活動施設が整備中です。

11.洪水調整池
 開発事業では非常に重要な防災施設です。大雨が降ったときに濁水が一度に田畑に流れ込まないよう、一時的に濁水を貯め時間をかけて下流の河川へ流すためのもので、工事の最初に造りました。おなじような調整池をキャンパスの中に現在6箇所つくっています。この調整池は5万トンたまります。大雨は滅多に降らないので、通常は芝地や草地の憩いの場、キャンパスコモンとして使います。コンクリートも汚れてきたので近い将来は化粧して、舞台、噴水などで憩いの場にしたいと考えています。調整池南には、教職員の寄附によるサクラ並木を整備する予定です。

12.ビッグさんど
学生2名を含む生活支援施設等名称選考委員会(今泉勝己委員長)で審議した結果、最優秀賞に選ばれた名称です。食堂、売店、健康科学センター分室などが3層になって入居していることや建物の形から連想して、誰でも気軽に利用できる意味を含めてつけられました。 地上2階、地下1階の施設(約3000㎡)で、食堂、売店のほか健康科学センター分室が設置されています。伊都地区最大の食堂となる席数(920席)で、朝食から夕食まで1日の食事を提供しています。また、食堂ホールは学生が自由に勉強、課外活動、イベントなど多目的に利用ができます。1階は、カフェテリアレーンを中心としたフードコート型で、バラエティある食事・利用場面を提供します。数多くのメニューを安く食べられるこの新しいレストランは、おすすめです。


13.池の浦古墳
福岡市教育委員会の踏査で確認された前方後円墳です。現在は保全緑地内に存在することから生物多様性研究に活用することになっています。手前は、造成地にあった高木のなかで枝振りの良い木を選んで大型重機でそのまま運んで移植した場所です。ウエスト・ゾーンで130本以上の高木を移しました。

14.伊都図書館
(2005年10月オープン、2009年10月増築オープン)
主に工学、システム情報科学、理学、数理学、農学の各部局の学生、教職員をサービス対象とする図書館です。情報基盤研究開発センターと一体的な施設として建設され、情報基盤研究開発センターとの連携のもと、全学の電子図書館的機能を推進することにしています。これにより、新キャンパスにおける図書館は、体系的で豊富な蔵書を備えた学習図書館、研究図書館として機能するとともに、電子ジャーナルを始めとするネットワーク系メディアによる学術情報を、研究室等から居ながらにして利用できる環境が一層推進されます。 六本松地区の移転に伴い、2009年4月に六本松図書館資料を移動していますが、2層分の増築工事を経て、最終移転完了後は総合的な自然科学系図書館となる予定です。伊都図書館は、自動書庫やICカード対応等最先端の設備を備えています。今は見えませんが、図書館横駐車場の下には、以前に森があった時と同じように雨水が地下へ浸透するよう、雨水浸透施設が広い範囲に渡って埋め込んであります。このほかに、イースト・ゾーンに中央図書館を建設し、する予定です。
図書館内には、1Fロビーに設置されるカフェ『Libca』(40席)があります。図書館利用者のリフレッシュコーナーとして、ドリンクを中心としたテイクアウト型の軽食を提供しており、おすすめです。

15.情報基盤センター(2009年10月オープン)
学生や教職員、九州大学に関係するすべての皆様に最高の情報基盤を提供するための施設です。情報統括本部のもとに情報基盤研究開発センター、情報環境整備推進室、および情報システム部があり、計算, 通信, 情報セキュリティ, 教育支援等, 情報科学に関する幅広い分野に関する研究開発や、全国共同利用施設としてのスーパーコンピュータシステム等の大規模計算機システムによる計算サービスを、全国の研究者に対して提供します。

16.ウエスト2号館(工学系研究教育棟)
キャンパスの東西2kmにわたって研究教育施設が建つエリアをアカデミック・ゾーンと呼びますが、アカデミック・ゾーンはさらにウエスト、センター、イーストの3エリアからなります。ウエスト・ゾーンは、理学、工学、農学のいわゆる理系が使うエリアです。センター・ゾーンに近い方から1号館、2号館と呼んでいます。
全体としてボリュームが大きく長い建物なので、2号館の表面を4分割してスリットを入れ、単調にならないような工夫をしています。スリット部には手洗いもあるリフレッシュ・スペースとバルコニーを設けています。2号館には、システム情報科学研究院と地球環境工学部門群が入っています。ウエスト2号館の、向かって右、東側の2ブロックはシステム情報科学研究院であり、向かって左、西側の2ブロックは地球環境部門です。窓下のパネルの色を少し違えて、グループを表現しています。
1つの窓は、原則として1人の教員の部屋に相当します。下層の2層は、主に講義室と自習や談話のできる情報学習室、ホールなどが入っているため、階高も色も違えています。建物屋上には空調の室外機が並ぶことから、それを囲むパネルをまわして見えないようにし、上部には太陽光パネルを載せています。

17.総合学習プラザ(2009年10月オープン)
全学共通講義室と国際性・学際生を備えた新学部教育を行う教育研究施設です。全学共通講義室は、主に工学系及び新学部の学部教育に利用します。また、短期留学生の教育を行い、交換留学生と短期留学生及び日本人学生が日常的に交流できる知の国際的交流拠点となる施設です。

18.記念碑と記念樹
箱崎にあった工学系の記念碑と記念樹を持ってきて、先人の思い出を大切にしています。

19.石のアートQIAO
九州の大地の逞しいダイナリズムを、人々の豊かな生命力とエネルギーを伝えています。アートの中央を走る軸線は、東は福岡市西区の毘沙門山、東区の立花山(箱崎キャンパス内大通りから軸線上に見える山でもあります)を通って、富士山、東京へと伸び、西は上海方向を目指しています。上海と東京を結ぶ線の中間が福岡であることから、この国際連携軸を活かした石のアートを設置しました。Qiaoは「橋」の中国語読みです。作者は、パブリックアートで著名な田甫律子氏、東京芸術大学教授です。石は熊本県五木村で採れたもので、福岡市から寄贈していただいたものです。真ん中に立つと、田甫先生が、当時の留学生達に詩を朗読してもらったり、両親にあてた手紙を読んだりしたときの声が、各国語による音のアートとなって、ささやくように聞こえます。

20.ウエスト3号館(工学系研究教育棟)
 物質科学工学部門群が奧にあり、講義室等が入っています。工学系のゲートとして下層を大胆に抜いており、グリーンコリドーを通しています。応用力学研究所で数値シミュレーションと模型シミュレーションを実施し、平野部を吹く風と同程度の風がこのゲートを抜けること等をチェックしていただきました。キャンパスモールの歩行者動線の突き当たり、目線が止まる部分は、アイストップとして建物の一部形状等を工夫して、配置しています。

21.造船学教室の大碇
 6トン、5.1m×3.1mのストック型碇で昭和17年製造、1986年に石川島播磨重工業株式会社呉第一工場から寄贈されたものです。ちなみに、呉第一工場では、この碇の作成された前年に戦艦大和が建造されています。大和の建造法は、1926年造船学科卒業生西島亮二氏(当時主任)によって主導されました。敷石は、箱崎の旧造船学教室に使われていた御影石を使用しています。この南には、人口約800人音元岡集落があります。元岡集落のなかほどに、あかでみっくらんたんの経営者であり、九州大吟醸の醸造元の浜地酒造の酒蔵があります(見学可)。


22.ウエスト4号館(工学系研究教育棟)
 向かって右、東側の2ブロックは物質科学工学部門群が入り、左の西側2ブロックは機械航空工学部門群が入っています。工学系は、西から東まで雨に濡れないで移動できるようになっています。工学系の廊下を歩くと、それぞれの研究室で何をしているか、その成果等を紹介し、また研究室によってはガラス越しに中の様子を見ることができ、みなさんを刺激してくれます。2階のロビー階から実験室を見下ろせるようにしたシースルーラボもあります。工学系だけで長さが300mを越えるため、建物形状を直線とせず、地山の尾根に沿ったかたちでカーブさせています。歩行動線のつきあたりを、なるべくガラスで外が見えるようにして、単調になりがちな歩行を楽にする工夫をしています。


23.ビッグどら
平面図がどら焼きのかたちをしていることから、学生委員2名を含む伊都キャンパス施設愛称選考委員会(有川節夫委員長)において126件のなかから最優秀作品として選ばれた名称です。南側の低層施設は緑化をはかることを原則としており、バーベキューのできるスペースも確保されています。学食とは思えないほどの数多くのメニューを用意していただいており、おすすめです。

24.工学系実験施設群
 振動する実験機材、重い実験機材、大きい実験機材等をもつ実験室のうち、研究教育棟のなかにいれるのが困難と判断された実験室は、幹線道路側に別棟として建てています。上下の層で2色に塗り分け、圧迫感を軽減しています。

25.エマージェンシーポール
交通事故、事件、あらゆす非常事態に対応するためのポールを約150m間隔に配置しています。カメラ、通話設備、警報ランプが装備されており、警備室に通報できるようになっています。

26.ウエスト5号館(農学系研究教育棟)予定地
 工学系との間のグリーンコリドー予定地は暫定的にバス転回場として、ウエスト3号館予定地は暫定駐車場として利用しています。左手南側奥には果樹園を主体とする農場を造る予定であり、前原の方向に伸びる幹線道路も将来は整備されます。右手は生物多様性保全ゾーンです。幹線道路沿いは、夜間も明るくして安全を確保するため、照明を密度高く配置しています。

27.エコトンネル
保全緑地には、ノウサギ、アカネズミ、アナグマ、タヌキなどの小動物がたくさん生息しています。分断された緑地を繋ぎ、これらの小動物が行き来できるよう、グリーンコリドーに加えて、幹線道路の下にエコトンネルを通しました。


28.生物多様性保全ゾーン
 湧水限のある沢地をそのまま保全し、生物の多様性に配慮するためのゾーンです。このエリアには、用地内で発見された貴重種ナンゴクデンジソウ、シャジクモなどの植物35種を移植しました。理学研究院の矢原教授、演習林の小川名誉教授、薛准教授をはじめ、ボランティアの皆様、九大事務局、福岡土地開発公社ほか関係者の努力によって実現したものです。


29.西側斜面
ウエスト・ゾーンの造成で失われた表土のうち22,700m2、林床 8,000m2の草木類を、そのまま専用バケット(1.45m×1.5m×0.6m)ですくい上げて、その範囲に生息する植生を全て保存しておき、造成面が完成した後で敷き並べる工法によって大規模に移植しました。個々の斜面は、急速に森林化しています。

30.カスミサンショウウオの池
水域の小動物カスミサンショウウオ等を保全するための池に移植して絶滅を回避し、種の保存を積極的に行いました。また、池の向こう側、北西方向の山は、用地が地元の手を離れてから手入れがされなくなり、竹林が繁殖していました。学生と教職員、地元の皆様のボランティアで、竹林を伐採し、いまでは、元々の姿である照葉樹の森に戻っています。


31.幸の神(さやのかみ)湧水源
 渇水時にも枯れなかった水源として地元で大切にされてきた湧水源です。ここで湧き出た水は、地元の水田を潤し、大原川になって北側の博多湾に流れます。 年間を通して水温17℃、日水量150トンが河岸のコンクリートにあいた数か所の穴からわき出ています。水工土木の神野教授、広城准教授、横田助教の指導の元で、三角堰を使って水量を継続して観測、監視しています。幸の神の湧水量確保は、地元住民の願いでもあり、周辺の沢地全体を残すきっかけとなりました。

32.平川池、農場予定地
左手北側奧には、地元の農業用溜め池、平川池5万トンがあります。その右手東側は、もともと田んぼでしたが、それを農場の稲作圃場として使う予定です。遠方には約500人が住む桑原の集落が見えます。

33.分水碑
 昭和15年、地元で元岡への送水をとりきめたときの約束がこの石碑に記されています。「契約条項 桑原区会の協議を経て左の通り協定す 一.幸川流水を此処より大字元岡瓜尾大久保両溜池に分水す 一.期間は毎年十月より翌年四月迄とす 但し十月十一月十二月の三ヶ月は専用することを得 一.代償として大字元岡字中開五拾八番地田弐反歩を提供す 以上」田弐反歩とは、約2,000m2の広さの水田であり、これとひきかえに、元岡への分水が実現したのです。


34.ウエスト・ゾーン北側斜面
 ウエスト・ゾーンでは、切り株 1,400本を斜面に移植することで法面等の早期樹林化を図りました。立派に森にかえりつつあります。また、ウエスト・ゾーンの造成に伴い伐採した樹木の23,500m3をチップ化し、造成表土31haへの散布により、造成面の表土浸食、雑草の発生、植栽地の乾燥、砂塵、雨水による土砂流出等を防止し、資源の有効利用を図りました。

35.あかでみっくらんたん
 「まじめなだけでは研究のアイデアは生まれない」(梶山千里前総長)。「あかでみっくらんたん」は、伊都キャンパスに通う学生と教職員が気軽に安心して集う場、地域住民との交流の場です。交流を通して「遊び心」が養われ、「遊び心」をもって教育・研究が進められることが期待されています。国際コンペで金賞を取った杉能舎ビール、九州大吟醸、焼酎もあり、キープもできるおすすめのお店です。
伊都キャンパスを「ミニ水素社会モデル」として、燃料電池や水素ステーションなど新しいエネルギー技術の実証研究の場とする構想のもと、「あかでみっくらんたん」と「ビッグどら」で、電源用に定置型燃料電池が設置されています。


36.水素ステーション
 コンプレッサーレスの高圧水電解水素ステーションの開発を研究課題とした共同研究契約を締結した三菱商事・九州電力からの資金と九州経済産業局の地域コンソーシアムに採択された財団法人福岡県産業・科学技術振興財団(福岡IST)からの再委託費で整備しました。周辺の施設群は九州大学が世界に誇る世界最大級の水素研究拠点となっています。

■ここで講義時間90分終了になりました。ツアー参加者の記念撮影をして、出席カード提出後に解散しました。


今回は行けませんでしたが、大事な施設をご紹介します。
37.高圧電子顕微鏡室
世界唯一のエネルギー分光型超高圧電子顕微鏡をはじめ、九台の電子顕微鏡と解析装置などの周辺機器を備えた共同利用施設です。電子顕微鏡を用い、微細組織や原子配列の分析という研究基盤技術を強化し、将来、製薬やバイオテクノロジーをはじめとする様々な分野で新しい産業の創出、新技術の開発を促します。


38.稲盛財団記念館(2009年10月竣工)
 財団法人稲盛財団からの寄附による建物です。国際的な学術・文か交流の場としての国際ホールや、稲森財団ライブラリーがあり、環境、エネルギー、機能性分子、エレクトロニクス材料など次世代の科学技術の理想を自由に追求できる新しいタイプの研究センターとして、稲盛フロンティア研究センターが入居します。

39.エネルギーセンター
 キャンパス全体に電気エネルギーを供給する中核的施設として位置づけられています。1階に発電機室、特高変圧器室等、2階にはエネルギー総合運用監視センターの総合監視室を配置しています。

40.ビッグオレンジ
 九州大学の情報はまずここから。九州大学の明日を語る情報発信基地です。九州大学伊都キャンパスは完成までに10年、九州大学学術研究都市の整備、成熟にはもっと時間が必要です。周辺で工事が続く間、先に将来の姿をみてもらおうと、パンフレット、ビデオ、模型等を置いています。気軽にお立ち寄り下さい。大勢でこられるときは、事前予約をお勧めします。
生協の書店もあります。さらに、ビッグオレンジ・レストランもオープンしました。ファカルティクラブ風の落ち着いた雰囲気のあるフルサービスレストランです。ビールやウイスキーもあり、おすすめのお店です。


■講義「伊都キャンパスを科学するⅠ(計画・環境編)」について
世界の大学キャンパスおよび九州大学のキャンパス史、自然環境の調査、学生や教職員、市民の参画、学術研究都市構想、マスタープラン、施設建設とマネジメントなど、プロジェクトに関与する教員がリレー形式で授業を担当するものです。伊都キャンパスにおける環境と計画を主題に、建設を巡る様々な課題をどのように解決したかをわかりやすく解説するとともに、次世代のキャンパス像に関する理解を深めることを目標とします。
1回 4月15日水曜 オリエンテーション・欧米の大学キャンパス 坂井猛 新キャンパス計画推進室教授
2回 4月22日水曜 伊都キャンパスの未来と学術研究都市 今泉勝己理事/副学長
3回 5月13日水曜 九州大学史と伊都キャンパス 折田悦郎 大学文書館教授
4回 5月20日水曜 アジアの大学キャンパス 坂井猛教授
5回 5月27日水曜 伊都と糸島をあるく 坂井 猛教授、鶴崎直樹、宮崎浩司、丸居 篤、横田雅紀
6回 6月3日水曜 伊都キャンパスのパブリックスペース 佐藤優 芸術工学研究院教授
7回 6月10日水曜 伊都キャンパスの緑地管理とボランティア活動 薛 孝夫 附属演習林准教授
8回 6月17日水曜 伊都キャンパスの生物多様性とNPOの取組み(1) 矢原徹一 理学研究院教授 9回6月24日水曜 水素キャンパス構想 佐々木一成 工学研究院教授
10回 7月17日水曜 伊都キャンパスの水環境 横田雅紀 新キャンパス計画推進室助教
11回 7月8日水曜 伊都キャンパスの生物多様性とNPOの取組み(2) 佐藤剛史 農学研究院助教
12回 7月15日水曜 伊都キャンパスの建設と施設マネジメント 加納博義 事務局施設部長
13回 7月19日日曜 これからの知的拠点のデザイン 記念講演 柿沼康二(書家)、伊都と糸島のグランドデザイン 坂井猛、マスタープランと工学系地区のデザイン 田中宣彰、センター地区のデザイン 岡村和典 ほか
14回 7月22日水曜 伊都キャンパスの展望 坂井猛教授、鶴崎直樹准教授、宮崎浩司助教、丸居篤助教
2009年度は都合により、開講されませんが、後期総合科目「伊都キャンパスを科学するⅡ(歴史編)」があります。

■資料
新キャンパス計画推進室のホームページから、新キャンパス基本構想、造成基本計画、マスタープラン2001、パブリックスペースデザインマニュアル、工学系地区基本設計、理学系地区基本設計、センター地区基本設計、保全緑地維持管理計画、水循環系保全整備計画など、主なアーカイブがダウンロードできます。
■テキスト
全体計画や経緯については、テキスト「これからのキャンパスデザイン」(九州大学新キャンパス計画推進室編、九州大学出版会)にわかりやすくまとめています。推進室で全力投球して書いた本ですので、ぜひご一読下さい。