九州大学新キャンパス Kyushu University New Campus
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資料集新キャンパス委員会による成果

九州大学新キャンパス基本構想における埋蔵文化財の取扱い方針 平成9年7月30日

平成9年6月27日 将来計画小委員会提案
平成9年7月30日 将来計画小委員会了承
 平成3年10月22日の本学評議会において、福岡市西区元岡・桑原地区への「九州大学新キャンパス移転構想」が承認された。これに基づき、福岡市、志摩町、前原市に新キャンパス用地確保の協力を依頼するとともに、新キャンパスの基本構想について鋭意検討が進められ、平成6年3月22日の評議会において「九州大学新キャンパス基本構想(0次案)」が報告された。

 その後、この0次案を基に、開発のための必要な調査を行いつつ、新キャンパス計画専門委員会を中心として詳細な検討を進め、8年7月30日の将来計画小委員会に「新キャンパス基本構想(1次案)」を報告し、8年10月22日の将来計画小委員会に基本構想1次案の「造成計画図(修正案)」を報告した。

 一方、平成6年2月24日に九州大学より福岡市長にキャンパス用地の取得を依頼し、福岡市はこれに基づき、平成6年12月から土地開発公社により用地買収を開始し、平成9年6月15日現在約98%の用地買収が終了した。また、九州大学は、平成7年2月13日に福岡市教育委員会に埋蔵文化財踏査を依頼し、8年2月7日に市教育委員会より「現地踏査結果」が九州大学に報告された。並行して8年2月2日に福岡市教育委員会に埋蔵文化財の発掘調査を依頼し、平成8年11月11日に市教育委員会より「中間報告」が九州大学になされた。九州大学では、この「中間報告」を基に、九州大学内外の研究者及び関係機関から慎重な意見聴取を進め、「1次案」及び「その修正案」の再検討を行ってきた。

 以上の経緯をへて、ここに「1次案」及び「その修正案」を大幅に修正し、「九州大学新キャンパス基本構想における埋蔵文化財の取扱い方針(案)」を提案する。

 本案を作成するにあたって、考慮した基本的な点は、以下のとおりである。
  1. 移転予定地内に存在する6つの前方後円墳は、4世紀から6世紀までの首長の墳墓と見られるとともに、また、石ケ元古墳群は、文献に表れている郡司戸籍と考古学調査で発掘される遺跡が具体的に一致する可能性をもつという点で、学問的に貴重なものとの評価のもとに、可能な限り現状保存されることが学内外の関係者から期待されている。
  2. 21世紀において国際的・先端的研究・教育拠点(COE)としての九州大学を構築するには、新キャンパスがそれに相応しい面積と施設を整備することが強く求められている。これによって、世界的レベルの研究業績が続出し、多くの優れた人材が育成されていく条件が整った新キャンパスの構築もまた、大学の責務である。
  3. 今回の修正案は、こうした歴史的に貴重な埋蔵文化財を保存するとともに、21世紀の新たな「文化財」をつくり出す基盤を整備するという二つの要請を可能な限りで両立するよう接点を模索した結果として提案するものである。
具体的には、
  1. 6つの前方後円墳のうち、塩除、金屎、地ノ浦、峰、及び「無名」の5基については開発対象外とする。ただし、石ケ原については、キャンパスの造成にとって技術的に不可欠な位置にあることから、徹底調査のうえで記録保存とする。
  2. 石ケ元古墳群については、規模、埋葬品の内容、破壊の程度などを基準として検討した結果、30基のうち17基を現状保存とし、残る13基については、記録保存の対象とする。
  3. 水崎城の中心的遺構及び馬場城の南側遺構についても、当初のとおり開発の対象外とする。
  4. 以上の前方後円墳、古墳群を開発対象外としたことに伴い、その影響は5haの減少となる。
 以上の4点について大幅な修正をほどこしたのが、今回提案する修正案である。

 この提案は、「造成基本計画」の最終案を策定するための前提となるものであり、今後、詳細な計画図面等を検討し「造成基本計画」を取りまとめることとなる。

■埋蔵文化財の現状保存、記録保存の箇所敦の比較
  基本構想一次案 基本構想一次案(修正案) 今回の修正案




塩除古墳 記録保存 現状保存 現状保存
金屎古墳 記録保存 記録保存 現状保存
石ケ原古墳 記録保存 記録保存 記録保存
池の浦古墳 現状保存 現状保存 現状保存
峰古墳 現状保存 現状保存 現状保存
「無名」古墳(推定) 記録保存 現状保存 現状保存
水崎城跡 中心部を現状保存 中心部を現状保存 中心部を現状保存
馬場城跡 南側遺構を現状保存 南側遺構を現状保存 南側遺構を現状保存
石ケ元古墳群(34→30基) 記録保存 記録保存 現状保存17基
記録保存13基
その他の円墳(38基) 現状保存11基 現状保存18基 現状保存18基
記録保存27基 記録保存20基 記録保存20基

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