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研究紹介

これまで植物生理生態学を研究してきました。
植物の生態や進化を解明するうえで、その生理特性の理解が非常に重要となってきます。自ら歩いて好適な環境に移動することができない植物は、自らの特徴:生理特性、を環境に柔軟に馴化させることで、成長し、繁殖して生き延びています。

しばしば計測すら難しい、植物の微細な挙動を、植物生理学で発達した技術と知識を用いて計測し、そこから植物の進化や環境適応を理解する学問が、植物生理生態学です。



これまでかかわった研究プロジェクトは以下の通りです:
・常緑広葉樹による、冬の光合成を通じた林床での光不足の克服の実態解明
・植物の樹形 森林下層の植物の葉の配置は受光の最適化に直結しているのか?
・熱帯既設林での樹木の蒸散の季節変動は乾燥回避のための戦略だった
・初夏に乾燥で光合成が抑制されるニセアカシアの光合成挽回戦略
植物は葉や根、水を通す幹の道管など、様々な機関を様々に馴化させることで、必死になってその環境で生き抜いている様子が明らかになりました。



植物の生理特性やその進化的背景を理解することで、様々な研究分野が抱いてきた疑問に答えることもできます。
大学院時代は、植物の環境への適応(環境から植物への作用)を研究してきましたが、学位取得後は植物が生態系に及ぼす影響を研究してきました。
例えば:
・土壌乾燥と湛水を繰り返すカンボジアの森林への外来種植栽が地域の水資源に及ぼす影響の評価
・ゴム林の植栽が地域の水資源を枯渇させる
・草原の保全は地域の水資源寛容に寄与するのか?

ゴム林では、降った雨以上に水を消費することが明らかとなりました。びっくりする結果でしたが、確かに連日雨の雨季、豪雨の中で掘った土はサラサラで、根が土から水を吸い上げ続ける実態が垣間見られました。こんな樹木を一面に植栽したら、この地域の水資源はどうなってしまうのでしょうか?



こうした研究活動には、僻地や遠隔地での活動が多く含まれます。
独特の種からなる貴重な生態系や、気候変動の影響が色濃く表れる地域はしばしばこうした遠隔地が多いからです。

国内の調査地には、八甲田山(積雪の影響評価)、大台ケ原(ササがトウヒやゴヨウツツジの更新に及ぼす影響の評価)、西表島の汽水干潟のマングローブ林、、八ヶ岳山系の縞枯れ山、などがあります。

海外の調査地には、カンボジアのゴム林やハワイの山奥(ヘリを使います)、溶岩台地の真っただ中、が含まれます。
ほかにも研究費で支援された研究プロジェクトでは、カンボジアの低地常緑林(ジャングル)やマレーシアのアブラヤシ林、ハワイの原生林もあります。


今日も日本や世界のどこかで、植物生理生態の知識が必要とされる研究に呼ばれ、活動を続けています。



さて、こうした様々な研究に加わると、どうしても足りなくなるものがあります。お金です。
それを解決すべく、近年発展の著しいデジタルデバイスを活用する研究者、というのも、私の研究者としての特徴です。

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