九州大学新キャンパス Kyushu University New Campus
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九州大学新キャンパス基本構想(0次案)の概要について 大学広報NO.819(平成6年7月5日発行)

土地造成計画

1. 土地造成計画の基本的考え方
(1)大学施設との関係
○小起伏丘陵地で開析谷が発達している地形的な制約から、平野部のような土地造成は難しい。しかしながら、本学は国内外から西日本の基幹的な総合大学として要望されており、このことを踏まえれば、キャンパス内に整備される各種教育・研究施設及び共用・共通施設は相互に有機的連携を図ることが強く求められる。
○具体的には、各セクター内はできるだけ土地の高低差がないように工夫し、また、セクター間についてもその移動に支障がない土地の高低差やセクター間の距離的位置関係が得られるようにする。
○開かれた大学として、学内外の多様な人々による各施設の利用に便利であることを配慮する。
(2)地形との関係
○用地全体が丘陵地形をなし、東西の分水嶺と南北の分水嶺で構成され、小尾根によって区切られる谷筋は耕地化が進んだ状況を呈す。また、東部には標高95mの小山が存在する。これらの地形条件に十分配慮する。
○用地南側の集落では井戸水利用があり、また、周辺農地の水利権の問題もある。従って、造成計画に当たっては、集水域の確保や既存水利権の保証に留意する。
○土地造成に伴う土工量の収支バランスに極力留意する。域外との搬出、搬入土量を押さえ、土砂移動についても無理のないものとする。
(3)周辺との関係
○将来、周船寺、今宿方面から用地東側の地域に向けて都市的発展が期待されることを配慮し、この地域との連続性が保てるようにする。
○用地南側は隣接して元岡、大坂、山手の各集落等があり、従って、南斜面はできるだけ現地形を生かし、場所によっては緑地として自然環境の保全に努めることが要求される。
○用地は、概ね県道、市道、農道に取り囲まれているが、基本的にはこれらの道路を基本にして造成計画を考える。特に、県道桜井太郎丸線は用地の北側境界に沿い、アクセス道路として活用できる。また、周辺地形条件に適合した勾配をもつので、これが土地造成を検討する1つの基準となりうる。
○用地内中央東寄りを県道桜井太郎丸線と新西部埋立地への連絡道路が横断するが、分断のデメリットが顕在化しないように工夫する。
(4)ため池、湧水源との関係
○用地内に4ヶ所、用地内に集水域を持つ5ヶ所のため池が隣接地にある。基本的にはこれらため池の水量と水質が確保できるように工夫する。
○用地内に1ヵ所の湧水源があり、用地内及び隣接地のため池の重要な水源として利用されているが、このことを十分配慮する。
(5)土質・地質条件との関係
○用地内3ヶ所に土取り場があり、あるいは、これまでの耕地造成に伴う切崩し箇所が多数点在する。また、県道桜井太郎丸線の拡幅、付替え工事に伴う切土箇所がある。これらの切土高は10~30mに及ぶが、いずれも風化花崗岩で、基岩の露出は見られない。このことから傾斜と表面防護に基づく防災上の工夫を行えば、20m程度の切土高は十分可能であると判断する。
○用地内の大部分に広がる風化花崗岩(マサ土)は、盛土材として申し分ない。従って、膨大な土工量となることを避けつつも、ある程度の高盛土の出現があっても十分対処することが可能である。
○各セクターの施設配置の用地及びそれらを結ぶ区間の敷地等については極力緩傾斜となるよう工夫する。
(6)その他
○用地内に建設廃材の埋設箇所があるが、その扱いについては慎重に検討する。
○キャンパス全体について、内外からみた景観や周辺環境との調和に配慮する。
2. 土地造成計画
§5.「2. 各組織の将来規模」の検討を踏まえ、土地造成計画において、特に考慮し検討した内容は以下のとおりである。
○用地面積の60%程度以上を造成することを前提として土地造成計画を立案する。
○土地造成のコントロールポイントとして、東側の小山(95m)、文化財及びその周辺、用地南側の集落隣接地域、湧水点及びその背後地域が考えられる。
○土地造成後の地形は、部分的に8%程度の勾配もあるが、基本的には5~6%にとどまるよう考慮する。
○キャンパス内移動用の幹線道路は、地形及び周辺地域との関係から東側から大原川に沿う形となるが、キャンパス用地とは立体的に交わるよう工夫する。
○用地内4ケ所及び用地内より取水する周辺5ケ所のため池については、基本的にその機能が維持できるように、現状の水系を考慮する。
○調整池の配置については、今後の施設配置計画の中で考慮する
図9が具体的な土地造成計画案である。

土量の収支は、志摩町側のF区域を除くと、全体として概ねバランスがとれているが、区域 A、C、D、Gで不足し、区域B、Eでこれを補うことになるであろう。造成工事については、まずエリア全体にわたり、防災工事や工事用道路建設を行っていくが、その後、土量収支と、土地利用計画及び段階的移転計画とを合せて考えると、土地造成計画を分割的に行うとすれば、大まかにⅠ期にA、B、Fの区域を、Ⅱ期にC、D、Eの地区を、Ⅲ期にGの地区を行うという案が提案できる。

造成案における7区域それぞれの特色等を概括すれば以下のとおりである。
[A区域] 区域内の57mの小山を削り、現況の農地部を埋め立て、周辺とは段差を少なくし、全域を開発する。
[B区域] 区域内の最高地点(標高95m)を中心とする尾根部から南側は残存させる。西側を南北に走る県道桜井太郎丸線とは、立体的に用地を展開する条件で、県道を挟む地点の標高を約30mに設定し、区域Aとの隣接部より西に向かって4%以下の勾配で、北から南の尾根に向かっては6%程度の勾配で斜面を造成する。
[C区域] 東辺部は区域Bと対峙し、区域BとCとは相互に連結し、両区域を分断する県道とは立体的に交差する。用地全体からの位置及び交通の面からみて、B、D地区と共にこの区域がキャンパスの中核をなすゾーンと考えられるので、かなり思いきった開発が要求される。
[D区域] この区域の最重点課題は、用地内唯一の湧水地の保全である。地質、地下水系等の詳細な調査結果をまつ必要がある。背後の地形はそのままとし、緑地等の活用を図る。
[E区域] 湧水地背後の緑地と市町界尾根の緑地に囲まれた区域で、高標高部にはキャンパス用地として勾配約7%の土地を造成する。
[F区域] この区域内で土量収支の均衡及び水系の維持を考慮しつつ造成を行う。
[G区域] 用地内唯一の南斜面で、他の区域から孤立した感を抱かせるので、区域Dとの間に同じレベルの台地を造成し、一体感を設ける。また、集落に近接しているため、その境界付近の造成は極力避ける。


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