1. 大学の在り方と大学改革
「九州大学の改革の大綱案」(平成7年3月)によれば、時代の変化に応じて自律的に変革し、活力を維持し続ける開かれた「研究大学」の構築という改革のコンセプトを設定している。具体的には、
- (1)博士、修士、学士課程教育の系統性の実現
- (2)教育組織と研究組織の分離と管理運営システムの連携
- (3)教育研究プログラム、研究拠点形成プロジェクトによる部門間の柔軟な協力システムの実現
- (4)系・コース制の導入と自由学際系及びハウスによる柔軟で開かれた系の教育システム
- (5)研究科・学部等既存組織の再編成と大学院重点化
- (6)研究所等の改革
- (7)共同研究コンソーシアム、社会人教育のシステム化による社会と連携強化
- (8)国際学術センター、留学生教育のシステム化による国際連携の強化といった内容が提唱され、真にその実現が求められるところである。
2. 計画の基本理念と基本方針
キャンパスの整備は、大学組織や教育・研究体制等との有機的連携のもとで効果的に諸施設を機能させ、真に我が国の基幹総合大学の名に値する教育・研究の環境を創造し、また、その活動基盤を整備することである。これらの立場から、キャンパス計画の基本理念と方針を以下のように構想する。
- (1)センター・オブ・エクセレンスにふさわしい教育・研究施設の整備
- 教育・研究の高度化、多様化、国際化に対応した高い水準の施設
- 各施設の有機的連携と将来の発展性に配慮すると共に、部局間の明確な境界 区分を避け、全学的視点に基づいた土地利用計画
- 施設の共用化・集約化による有効利用を図り、合理的な管理方式を採用
- 最新の情報通信手段を設備し、かつ技術の進歩に対応できるインテリジェン ト・キャンパス
- キャンパスへのアクセス及びキャンパス内移動が安全、快適、迅速かつ円滑に行われるような交通体系、交通基盤施設
- 学外に展開する教育・研究関連の諸施設との有機的連携の強化
- (2)環境共生型ユニバーシティ・パークの創造
- 景観デザインと適切な施設配置を踏まえたゆとりある土地利用計画を立案
- 研究・教育の場にふさわしい人中心の空間
- キャンパス内外の自然環境等を活用しながら、文化性の高い環境共生型のユ ニバーシティ・パークとなる計画
- 省エネルギー、資源リサイクルを考慮し、周辺環境との調和を考慮した計画
- 常に快適で質の高いキャンパスが維持できるような管理運営を考慮した計画
- 人と車の適切な共存
- (3)充実したキャンパス生活の創造
- 文化・交流、スポーツ、課外活動、福利厚生等の多面的なキャンパス生活の 支援施設や環境の適切な計画
- 図書館や計算機センター、食堂等の共用施設は、利便性を配慮した配置計画とすると共に、休日や夜間の利用も可能な計画
- (4)新たな研究学園都市の創造
- 閉鎖型でなく地域開放型となるよう施設、校内の開放に留意した計画
- 学生、教職員、国内外からの来訪及び滞在のための施設の総合的な計画
- キャンパス周辺地域への住居やアミューズメント施設、商業業務施設、社会 福祉施設、公共・民間研究施設等の適切な導入展開と、そのための社会基盤 の整備など関係機関との協議による「大学まち」の創造
- (5)段階的建設を考慮した計画
- 経年的建設過程においても大学運営が円滑に行われるように、移転年次計画に従う段階的建設を計画