九州大学新キャンパス Kyushu University New Campus
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資料集計画案関係

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九州大学新キャンパス基本構想(1次案)の概要について 平成7年10月5日作成

キャンパス用地及びその周辺の概況

1. 施設配置計画の基本的考え方
 施設の配置は、開かれた研究大学としての研究教育機能の十分な発揮と、時代の変化に応じて自律的に変革し、活力を維持し続けるという大学改革のコンセプトを実現するためのものでなければならない。

2. 空間構成の原則
 新キャンパスにおいては、緑豊かな自然が間近に存在し、静かな環境下で思考行動を活性化させうる「静的環境」ともいうべき空間が必要である。その一方で、ある程度集約化され、機能的、快適で、躍動的な「動的環境」ともいうべき空間が求められる。すなわち、他の分野の研究者とも頻繁に顔を合わせ、発想の糸口になるような出会いの場があり、豊かなキャンパスライフを送るための賑やかさを演出する必要もある。

3. 施設配置の基本像
(1)教育研究施設の配置
研究教育施設は、系の教育と各研究科の教育を行うエリアと、研究科・研究院の研究室、ゼミ室、小規模の実験室、事務室、会議室等からなる研究棟エリアにより構成される。学生の利用が多い教育エリアは原則としてセンターモールに近接し、静かな環境が必要な研究エリアはセンターモールから少し離れたところに配置する。研究エリアのさらに外側には「大型実験施設」や「共同研究施設」が緑地に近いところに配置され、施設によっては緑地帯に入り込んだ部分に、クラスター的に配置されることもある。
(2)ゾーンコアとキャンパスセンターコア
ゾーンコアは系に所属する学生のホームグラウンドであり、キャンパスライフはゾーンコアを中心に展開される。ゾーンコアは研究教育施設のひとまとまりのゾーン毎に設けられ、各ゾーンコアには、(1)学生の休憩と団らんの場である学生ホール、(2)各種のサービスセンターや売店、レストランなどの福利厚生施設、(3)共通教育等を主として行う講義センター、(4)情報図書館のブランチ、(5)ゾーンの事務室、会議室などにより構成される(図15: ゾーンコア)。その中心には交流のためのオープンスペースが設けられ、またゾーンコアの周辺には、教育・研究棟、実験施設等が配置されて1ゾーンを形成する。
キャンパスセンターコアは、センター・オブ・エクセレンスの象徴的な空間を演出する新キャンパスの中心的なコアであり、事務機能、迎賓機能、大学の情報発信、交流等の中心的役割を担う。また、こうしたキャンパスセンターコアの機能を十分発揮できるような空間構成を、その配置計画の中で実現する必要がある。さらには、各ゾーンの利用者が最寄りのコアに行くのに遠いと感じない距離に配置される必要がある。
(3)センターモールとオープンスペースの構成
東西に長いというキャンパス用地の形状から、学内における諸機能の円滑な連絡とバリアフリーな環境の実現のためには、キャンパスセンターコアと複数のゾーンコアは、東西に延びる基本軸上に設定したセンターモールにより連絡することが有効である。センターモールの「動的空間」と、周辺緑地の「静的空間」は、研究教育施設を挟んで両側に広がることとなり、相反する環境の2面性を満足する。
(4)全学共通教育スペースの配置
全学共通教育スペースは、以下の3案が考えられる。
分散型(ゾーン配置) 各ゾーンに全学共通教育スペースを対応させる案である。共通教育スペース間の距離が徒歩圏域内におさまり、各共通教育スペースが学生のホームグラウンドとして機能するというメリットがあり、移転途中にも無理がない。
分散型(2極配置) アカデミックゾーンの東側に1ケ所、西側に1ケ所配置する案である。教官の移動が少なく、集中するスケールメリットが期待できる反面、学生の歩行距離が長くなる。
分散型+集中型 低学年の共通科目の多い時期を考慮して集中化させた比較的大きな共通教育スペースと分散した共通教育スペースを併存させる案である。大小のスペースを有することで弾力的な運営が可能であり、移転途中にも無理がない。ただし、キャンパスコア以外の部分に大きな共通教育スペースを設けることによる学生の移動距離が問題となる。

■3案の検討
 以上の3案の中から、コアの均衡と均等に賑やかな空間を配置し、アカデミックゾーン全体を活性化させるという観点から、また移転途中に生じる弊害を避けるという観点から、本計画では、分散型(ユニット配置)案が望ましいと判断し、その前提のもとに施設配置計画を考える。
(5)情報図書施設の配置
情報図書館の配置については、キャンパス用地が桜井太郎丸線をはさんで東西に長く展開することから、法学経済学系、人文科学・人間環境系ゾーンに近い位置に全学の情報図書を管理する中央図書館を配置し、工学系、理学系、農学系のある位置に情報図書分館を配置する。
(6)事務施設の配置
大学改革大綱案をふまえた効率の良い組織に対応した事務施設の配置とする。基本的には、大学本部等の事務施設と、系の共通部分を扱うゾーンコアの事務施設、研究棟内の学科事務室等による2つの構成を考える。
(7)将来拡張の考え方
今後新たに設置される研究施設等の増築に対応するために、ゾーンの内部及び周辺に敷地を留保し、当面の間は多目的運動場あるいは駐車場として整備する。周辺緑地に接する敷地についても、整備が可能な部分を留保する。
4. アカデミックゾーンにおけるゾーニングの基本形
 アカデミックゾーンにおける各組織の配置を考える前提条件として、移転順序に関する考慮事項とゾーニングに関する考慮事項(表6左欄)を考慮し、多くの案の中から、殆どの条件にかなうゾーニング案として、表6の5つの案が提案できる。これらの案を比較検討すると、敷地のもつ条件、組織の連携及び建設順序等から「法学・経済学系、人文科学・人間環境学系」、「本部(キャンパスセンターコア)」、「工学系、理学系、農学系」という配置の第4案と第5案が浮かび上がる。農場ゾーンと農学系との位置関係、改革の進行状況等を考慮して、本構想1次案では、第5案をベースにそのバリエーションを含めて施設配置計画案を検討し、提案する。(6. 施設配置計画案 )

表6. ゾーニングパターンの検討
 
1
2



全学共通教育施設は分散配置する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
六本松地区を最初に売却する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
箱崎地区を分割売却する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
県道桜井太郎丸線は存続
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
県道桜井太郎丸線に隣接する地区から造成を開始する
理学系、農学系、工学系のいずれかが最初に移転
文系、理学系、農学系、工学系いずれかが最初に移転
工学系を複数期にわける場合、連続して移転する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
附属農場と農学系を関連づけて移転する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
       





農学系と附属農場を比較的近い位置に配置する
考慮事項を満足している
考慮事項を満足している
工学系は分割配置しない
考慮事項を満足している
考慮事項を満足している
運動施設は、専用地区とアカデミックゾーン内に適宜配分
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
宿泊施設を分散配置する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
大学本部は、学内外からアクセスしやすいように配置する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる

 
3
4
5



全学共通教育施設は分散配置する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
六本松地区を最初に売却する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
箱崎地区を分割売却する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
県道桜井太郎丸線は存続
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
県道桜井太郎丸線に隣接する地区から造成を開始する
工学系、理学系、農学系のいずれかが最初に移転
理学系、農学系、文系のいずれかが最初に移転
工学系、文系のいずれかが最初に移転
工学系を複数期にわける場合、連続して移転する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
附属農場と農学系を関連づけて移転する
考慮事項を満足できない恐れがある(*)
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
         





農学系と附属農場を比較的近い位置に配置する
考慮事項を満足していない(*)
考慮事項を満足している
考慮事項を満足している
工学系は分割配置しない
考慮事項を満足している
考慮事項を満足している
考慮事項を満足している
運動施設は、専用地区とアカデミックゾーン内に適宜配分
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
宿泊施設を分散配置する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
大学本部は、学内外からアクセスしやすいように配置する
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる
考慮事項を満足できる

5. 景観形成について<
 九州大学が緑豊かな元岡丘陵の自然環境と調和した環境共生型ユニバーシティー・パークの創造を目指していることを踏まえ、それを実現するために景観形成について考慮しなければならない。

6. 施設配置計画案
 アカデミックにおけるゾーニングの基本形において検討された事項を考慮し、表6(ゾーニングパターンの検討)の第5案をベースに、以下のような施設配置計画案を3案提案する。

1. 施設配置計画A案 A地区に交流ゾーン、B地区に法学・経済学系、人文科学・人間環境学系自由学際系、C、D地区に工学系、理学系、農学系、E地区に大型実験施設等を配置する案である。
2. 施設配置計画B案 A地区に交流ゾーン、B地区に法学・経済学系、人文科学・人間環境学系自由学際系と理学系、C、D地区に工学系、理学系、農学系を配置する案である。
3. 施設配置計画C案 A地区に交流ゾーン、B地区に文系、C、D地区に工学系と理学系、E地区に農学系を配置する案である。

■3案の検討
 以上を比較検討したものをまとめたのが図16(施設配置計画案の検討)である。C、D地区における容積率が軽減できる点、学生・教職員のアカデミックゾーンにおける配分比率に無理がない点、将来拡張の余地や相互交流の利便性にも配慮し、C案を基本構想1次案の施設配置計画案の基本形として提案する。その拡大図を示せば図17(施設配置計画C案)のとおりである。

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