AR

まちづくりのプレイヤーを能動的にさせる新たな技術=AR

ARを活用した都市デザイン調整システムの構築フロー

令和元年度のモデル調査では、“ARを活用した都市デザイン調整システム”の開発(構築)がチームのメインテーマでした。そのARシステムを構築する手順は下図の通りです。
注;ARとは、Augment Reality(拡張現実)の略称。ARは、現実世界からの情報を元にデジタル情報を重ね合わせ、視覚的に現実を拡張した表現を可能にします。画像や周辺の空間を認識し、現実の映像とデジタル情報を合成した映像をリアルタイムにディスプレイ上に表示します。ARは、広告・プロモーションでの利用から広がり、近年では様々な分野での利用が拡大しています。

ARシステム構築のフロー

AR(拡張現実)は参加者を主体的に能動的にする 

近年、各地で様々なテーマのまちづくりワークショップが開催されています。そこでは、紙やポストイットを用いたローテクな手法からVR(Virtual Riality 仮想現実)などの技術を用いたハイテクな手法などの様々な方法が利用されていますが、本プロジェクトではVR技術の次のステージを想定し、ARの導入の場面としてまちづくりワークショップをターゲットとしました。その理由は、合意形成手法の新たな展開が期待されるからです。
VRとARの大きな相違点はユーザーの主体性にあります。近年、VRが合意形成などの意思決定に用いられる機会が増えていますが、VRを大型スクリーンに映し出して、参加者がそれを見るといった利用形態が主であり、住民参加ワークショップといいつつも、参加者は受動的な単なる閲覧者になりがちで、能動的な参加になり得ないケースが多いようです。一方、ARは、タブレットPCなどのデバイスを通して、実空間とCGを重ねわせてみる技術であり、参加者それぞれがタブレットPCを操作することで能動的な参加形式となります。すなわち、見せ方が変わるだけで、参加の主体性が大きく変化するのです。さらにワークショップにおけるプログラムを工夫すれば、より中身の深いワークショップを実現することが可能となります。このように合意形成の現場を大きく変える可能性をARは有すると、私たちチームは期待しています。

VRの活用

ARの活用

ARシステムの構成と仕組み

システムの構成は、拡大印刷した衛星写真シートとARシステムが搭載されたタブレットPCの2つからなります。タブレットPCのカメラを衛星写真に向けると、対象地の3D地形モデルがタブレットPCの画面に映し出され、その3D地形モデルの上に各種属性データが立体的に表示されるというシステムです。
システムの仕組みは、衛星写真の中央の一部の画像をARのマーカーに設定し、このARマーカーをタブレットPCが捉えると、そのマーカーのサイズ・方向をもとにしてタブレットPC上に3Dの地形モデルと属性データのサイズと方向を同調させて描画する仕組みとなっています。また、3D地形モデルと各種属性データは重ね合わせたレイヤ状になっていて、それぞれの属性データの表示/非表示のボタン操作で切り替えることができます。

ARのイメージ

システムの構成と仕組み

ARシステム(防災まちづくり)の画面

ARシステムのデモンストレーション

令和2年1月24日に開催したセミナー「i-都市再生・データに基づくまちづくり」においてARシステムのデモンストレーションを実施して、試験的にシステムを公開しました。会場のフロアに敷かれた大型衛星写真の中のARマーカー(九大キャンパス周辺エリア)にタブレットPCを向けると、立体都市情報が現れる仕組みを来場者に体験してもらいました。

1/24セミナー会場でのデモンストレーション